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Austria

1996年8月 オーストリア世界難聴者会議参加報告

199608-aus1.jpg96年の夏、8月3日から9日にオーストリアのグラーツ市で開かれた世界難聴者会議(Hearing Conf. 96)に参加しました。私は手話通訳としての参加でしたので、内容はほとんど頭に入っていません。単語がいくつかパラパラという程度で、まさに「聞きかじり」状態です。(私を「バカ」と思わないでくださいね。バカは当たっているとも思いますが、通訳とはそんなものなのです)

参加25カ国、640名(?位)参加 於:オーストリア、グラーツ市 次回は西暦2000年、オーストラリアで開催予定。
日本からは代表団+観光団で65名参加。アジアから唯一の参加。

199608-aus2.jpg全体会+分科会(約100位)&(カジノで、市長招待、州知事招待、ガラの4回。みんなおしゃれ。さらにダンスもあり。難聴だから?それともカルチャー?)


日本代表団の情報保証(&言語通訳者)

1. 要約筆記(OHP手書き)=ベテランが参加。今回、外国語の手書きを初めて見た。フランス語らしい。

2. RT字幕(パソコンを使用し、ワープロ打ちしたものをプロジェクタ?に投影=オペレータはワープロコンテストの去年と今年の1位の人。話すスピードで入力。海外からも注目!)

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3. 手話通訳

4. 補聴器(磁気ループ。この機材が重くて日本から運ぶのが大変でした)
(レストランでもまずこの情報保障のための準備から開始するのです!)

手話通訳の場合

1. 日本語対応手話をこころがける。(対象が中途失聴者、難聴者なので)
課題1)専門用語(指文字が多くなる)
課題2)横文字(さらに指文字が多くなる)
課題3)手話だけでは区別しにくい表現は?
課題4)同時性を求められている(ユーザーは他の手段との併用している)
課題5)表情はどこまで必要か。

199608-aus4.jpg2. 講演者の生の声ではなく同時通訳機で日本語を聞いて表現
課題1)日本語が聞こえてこない時の間のとり方は?
課題2)意味のわからない言葉の対応。
課題3)対象者が手話を見ているか見ていないかわからない時は?(誰も見ていないように感じるときがある。必要?あとで「見ているよ」といわれる。案外外国人が見ていた=国際会議の特徴か)
課題4)同時通訳機の問題。つける位置、場所、向きによって受信状態が変わる。聞きやすい状態で身体につける工夫が必要。

3. シャドーイング
同時通訳ブースの電波と磁気ループ用マイクの電波が混線するので、磁気ループ用マイク吹き込みを行った。聞いた言葉をそのままマイクにむかって話す。同時通訳者の訓練方法のシャドーイングと同じこと。
課題1)会場の発言者の声と、自分の声と、同時通訳機の耳から聞こえる声がMIXしてしまう。一番大きく聞こえるのは自分の声。一番小さく聞こえるのは最も聞きたいブースからの声。
課題2)補聴器ユーザーが聞き易いように「あ?」とか「え?」とか同時通訳者の考えている時の声ははずすが、時として前後がつながらないときがある。(手話であればある程度通訳者が内容を理解してから表出が必要。シャドーイングは反射神経)
199608-aus5.jpg課題3)集中力がかなり必要で15分位でへろへろになる。
課題4)同じ室内で行うため、他の国の人から「Noisy(うるさい)」とクレーム。でも部屋からでると同時通訳機が聞こえなくなってしまう or 他の部屋のブースの声をひろってしまうので止むを得なかった。


その他

1)英語力の必要性:ほとんどが英語のレポート
2)難聴者とろうの違いを改めて認識。

9月22日(日)(再放送9月29日(日))の聴覚障害者の時間で『「ほほ笑みの障害」を越えよう』と題して放映しましたので、ご覧になった方も多い、と思います。写真に私もチラッと写っていましたが、おわかりになった方はまずいないでしょうねぇ。(笑)

 で、正式報告書は来年3月に(社)全国難聴者・中途失聴者連盟(略して全難聴)から出されますので、興味のあるかたはそちらをご覧下さい。

帰りはドイツのフランクフルト経由でした。写真はハイデルベルグ城へ寄った時のものです。


以上

※写真は随行カメラマンのご厚意で引用させていただきました。